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2013年3月22日金曜日

こどもしゅっぱん社 ストーリー 〜 取材での挫折編 〜


学校ではできない、挫折の経験をしたある日 








取材の計画をつくる


こどもしゅっぱん社の後期がはじまって3ヶ月。

年が明け、いよいよ雑誌作りの活動に取りかかる。


それぞれ、どんな取材をするかの企画を考えた。

みんなで話し合った結果、ターゲットは年配の人(おじいちゃん、おばあちゃん)に決まった。

その人たちに読んでもらう企画を考え、ポストイットに書き出す。

何度も企画を練り直し、どんなふうに取材するか、どこへ取材に行くかも決めた。


取材当日




いよいよ取材の日。

これまでにも、何度かまちに出て取材へ行っている。

市役所のお祭りに呼んでもらい、そこでインタビューをおこなったこともある。

けれど、今回は1人での取材。


1人の女の子、小学4年生。

彼女は、こどもしゅっぱん社へ入って一番の新人。

日は浅いが、みんなを仕切ることも出来るし、鋭い意見も出せる。

でも、いざ取材に行くといつもとは勝手が違った。


いつもの取材では、他の子が声をかけていた。

この日は、1人。

自分で声をかけないと誰も助けてくれない。

スタッフは、ただただその様子を見守る。


「あの人に聞いてみたら?」スタッフが生徒に声をかける。

けど、返ってくる答えはネガティブなものばかり。



「なんか温度が低そう」

「忙しい感じ」

「子ども、あんま好きじゃない人やと思う」


彼女の目には、大人がみんな敵のように見えたのかも知れない。

いろいろ場所を変えるも全くダメ。


教室として使っている市民センターの職員さんにインタビューだけしてこの日の取材は終わり。


教室に帰ると、とにかく悔しがる悔しがる。

「あああああーーーーーーーー」

自分の至らなさ、もっと出来たんじゃないかという思い。

悔しさ、みじめさ。

そんないろんな感情がうごめき、言葉にはならない声をあげていた。


その日は、家に帰ってからも、お母さんが声をかけられないほど落ち込んでいたらしい。



リベンジの翌週


落ち込んでる感じで来るかなと思ったら、その日はなに食わぬ感じで来た。

いや、むしろテンションが高かった。

多分、自分で無理矢理テンションをあげて、前回のようにはしないぞ!という決意が見られた。


今回は、高学年(5年生)の女の子が一緒について取材へ。

ただ、あくまでも自分の企画なので自分でインタビューしないことには、記事は作られない。


さぁ、取材。

そう思ったのも束の間。

歩いている途中、公園が目にとまると、おもむろに中へ入って行き、滑り台にのぼる始末。

まだ、取材が怖い様子。

5年生の先輩に促され、重い足でショッピングセンターへ。







見かねた先輩が、「私が声をかけるから、そのあとは自分で取材するんやで」と、優しい言葉をかける。


その方法で3人ほどに取材を実施。



改めて、声をかけることでなにが怖いのかを聞くと、

「断られるのがイヤ」とのこと。


以前の授業で、「断られたら10ポイントげっと!って喜ぶんやで」と教えていたので、
その話を先輩が後輩へアツく語る。

後輩は、「ポイントもらっても別に嬉しくないし〜」

まぁ、もっともと言えば、もっとも。

「じゃあ、なにがあったらいいだろう?」

そこでプチ会議がおこなわれ、『100ポイントを獲得したらアメが1つもらえる』『断られたら10ポイント』というルールが決まった。


挑戦する子に育って欲しい


チェレンジには失敗が伴う。

失敗することは悪いことじゃない。

失敗すること、うまくいかないことがあるってことは、それだけチャレンジしているってこと。

いつも、そのことを子どもたちには伝えている。

だから、こどもしゅっぱん社では出来るだけ多く、子どもたちに失敗をさせたい。

転んで、ケガをしないと、ほんとの痛みはわからないし、ケガをしてはじめて学ぶこともたくさんある。


”転んでもタダではおきない”


そんな芯の強い生徒に育って欲しい。


だから、『うまくいったらアメがもらえる』ではなく、『“断られたら”アメがもらえる』というルールにした。


正直、そんなことでなにか変わるのか疑問だった。

結論から言うと、劇的に変わった。

「え〜、断られたらイヤや〜」と言ってた生徒が、「あの人、断りそうやでー。声かけよー」と言うようになった。

気がつくと、他の人へ声をかけていた。

断られると、「やった〜。アメに近づいた〜」



そんなにアメが欲しいのですか。。。。。


そんなことも思ったけれど、とにかく楽しそうに声がかけられるようになった。

慣れもあったと思う。

少しずつ声をかけることで話し方もうまくなり、断られてもそんなにダメージがないこともわかった。

それにしてもアメとムチとはよく言ったもので、“アメ効果”は絶大だった。


後日、保護者のかたから子どもたちの変わりように「いったい、どうやったんですか?」と聞かれたくらい。


その日の振り返り




以前の授業で、生徒たちが授業態度の評価を4段階(S,A,B,C)で考えた。

毎回の授業終わりでは、その評価を自分たち自身でおこなうようにしている。

たいていは、Bだったりして、ためにAになる。(注:Sが一番良くて、Cはダメ)

その日、取材が出来た小学4年生の女の子。

「私、今日はSやわ!めっちゃ頑張った!」

自画自賛。

先週の悔しさがあったから、このときの嬉しさは格別だったと思う。


帰るときのエレベーター。

そこのにいた彼女は、先週のうつむいていたのがウソかのように自信にあふれた顔をしていた。


後日談


取材から数週間がたったとき。

彼女の口から、「取材楽しかったわ〜。早く、またやりたい!」という声が聞かれた。

お店の店員さんとか習い事での初対面の子にも気軽に話しかけられるようになったという。

「4月なってクラス替えしても、すぐ友達作れそうやわっ!」


取材へ行くのに緊張して、もじもじしていたのがわずか数ヶ月前のこととは思えない変わりっぷりだった。











〜 こどもしゅっぱん社、新規メンバー募集 〜


4/13よりこどもしゅっぱん社の2013年度授業が開講します。
限定5人、生徒を募集しています。

詳しい内容、お問い合わせなどはHPをご覧ください。


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